質と量の両立へ

界面活性剤リン酸肥料が、「美味しく」「魅力ある」作物の実現と、収穫量の向上の両立を可能にした。

開発開始後、まず収穫量の向上を目指して最初に着手したのが、リン酸でのPH値のコントロールです。
ご存じのとおり、植物は成長期と果実の成熟期でPH値が異なります。
植物の成長過程で、その時々にベストなPH値を作ることは容易ではありません。
ただしそれを実現できれば、これまでよりもっと収穫量を上げることができる。
何年もの間トライ・アンド・エラーを重ね、リン酸でPH値をコントロールすることが可能になった結果、収穫量を大幅に増加させることが出来る様になったのです。

収穫量増加を実現した次に取り組んだのは、甘さ・美味しさと、輝く色つやを兼ね備えた野菜・果物づくり。光合成の働きを高めれば、糖の蓄積と澱粉の働きが促され、窒素タンパク質からアミノ酸への変換効率を向上させることができます。
こちらも試行錯誤の末、リン酸肥料で光合成の働きを高めることに成功し、例え天候が悪くても、糖度を高め、食味を良くし、色つやを向上させた作物を作れるようになりました。

こうしたリン酸肥料の開発過程の中で、私は有ることに気が付きました。世の中の肥料として使用されているリン酸は、地中の金属と大変結合し易く、実はその9割が植物に吸収されずに地中に残ってしまうのです。もし、吸収率の高いリン酸肥料を開発することができれば、そして、私が培ってきた、収穫高向上と品質向上の技術と組み合わせることが出来れば・・・・・・。
低コストで、品質と収穫量の両方を向上させることのみならず、肥料の撒き過ぎによる土壌汚染も解消させる画期的な技術となる。この肥料の開発こそが、日本の農業を大きく進歩発展させる重要な鍵だ、と思いました。
それから、リン酸の吸収率を100%にまで向上させるために、研究開発に没頭する日々が続きました。

その後の長年に渡る試行錯誤の結果、ついにリン酸分子の表面を特殊加工してコーティングすることにより、リン酸分子の表面を界面活性化させることで、土壌の金属と結合せず、根や気孔からの吸収を極めて容易にした、非常に吸収率の高い液体型リン酸肥料を作ることに成功しました。

今までの常識から比べるとほんの微量の潅水や葉面散布を行うだけで、農作物の品質向上と収穫量向上に大きく役立つ界面活性型リン酸肥料、甘彩六花(アマイロリッカ)が誕生したのです。

「報われた努力<二つ目の壁>」に続く…